私たちの暮らしに欠かせない電気。環境にやさしいものを選んだほうがいいと思いつつ、「そもそも自分の使っている電気はどうやってつくられているの?」「自然エネルギーの電気って金沢でも選べるの?」と分からないことも多く、なかなかアクションを起こしづらいですよね。SDGsカフェ#14では、そんな「電気」や「エネルギー」について、「地産地消」の観点からみなさんと一緒に考えました。
今回IMAGINEしてくれたのは、石川県で「市民発電所」の取組を最初にはじめられたうちの1人、金沢市民発電所の永原伸一郎さんです。「市民発電所」とは、市民や地域コニュニティが、再生可能エネルギー事業に出資し、建設・運営を行う取組のことです。
永原さんの「市民発電所」の取組は、北陸で初めての市民風車「のとりん」の建設からはじまります。建設が決まった翌年の2007年に能登半島沖地震が発生、その後にはリーマンショックが起こるなど様々な困難がありましたが、なんとか乗り越え2010年に完成に至ったそうです。「のとりん」が完成した当時、住民の自然エネルギーへの関心は少なかったそうですが、2011年の東日本大震災の発生で国民の意識は大きく変化。市民発電所の取組にも大きく弾みがつき、2014年には金沢市環境政策課と連携して、市内の2つの保育園で太陽光発電の設置に至ったそうです。その後の市民発電所の建設の際には、地元の農産物を配当として選択できる出資の形を設けるなど、エネルギーだけでなく、食の地産地消と結びついた取組をされていることもご紹介いただきました。
そしてお話の最後には、2030年の金沢は、ZEH(ゼロエネルギーハウス)が普及していて、災害に強く、環境にやさしいまちになっていてほしいと語ってくださいました!
永原さんからのお話を受け、今回アイデアを提供してくださったのは、全国に約800カ所ある市民共同発電所のうちの半数を運営している、おひさま進歩エネルギー株式会社 取締役の谷口彰さんです。
取組のご紹介の前に、まず、北陸の電気の現状を教えていただきました。北陸は、豊富な水資源を利用した水力発電があるため、自然エネルギー率は全国の中でも高く、その割合は30%を越えているそうです。一方で、「石炭火力発電の比率が高いためCO2排出も多いです」とも教えていただき、エコな電気に変えていく必要性を改めて感じます。
長野県飯田市にある、おひさま進歩エネルギー株式会社は、地域を中心に全国の人々から出資を受け、太陽光発電事業を運営しているそうです。初期投資が大きい自然エネルギーは採算を合わせるのが大変そうなイメージがありますが、飯田市の太陽光発電事業を運営する「おひさまファンド」は、昨年15年目で初期のファンドを完済。きちんと事業として回っていくことを立証しているうえ、さらに、立命館大学等による分析データでは、おひさま進歩エネルギー事業から年間17.7億円の経済付加価値が出ていることも分かっているそうです!
今回のカフェの中で谷口さんは、「エネルギーを、そして未来を変えるため大きな一歩は、地域に役立つエネルギーを地域のみんなでつくっていくこと、それを行政と一緒になってやっていけることだと思います」とお話しくださいました。
2030年、「エネルギーの『地産地消』」が進んでいる金沢をみんなでつくっていくために、まずはエネルギーについて「知る」ことから始めてみませんか。今回のレポートは、北陸のエネルギーの現状から自然エネルギーの先進事例まで、盛りだくさん。ぜひ、ご一読ください!