「グリーンインフラ」という言葉を聞いたことがありますか?インフラというとダム、道路など私たちの生活を支える社会基盤を思い浮かべる人がほとんどかもしれません。グリーンインフラは、自然や生態系の力を借りながら、社会基盤の様々な機能について経済的負担を抑えながら補強したり、人間にとって心地よくなるなど、インフラとしての付加価値を高めていこうという考え方です。
金沢市は1968年に全国に先駆けて伝統環境保存条例を制定し、その中で市内緑地や用水も保全対象として武家屋敷や寺社群とともに町並みとして残す努力をしてきました。しかし、まちなかに住む人が減り、市民の生活の場であった景観も駐車場やホテルに変わってきています。
コロナ感染症によって、金沢の基幹産業のひとつである観光業は大きな痛手を受けました。でも見方を変えると、北陸新幹線の開通以来立ち止まって考える暇もなかったほどものすごいスピードで変わっていった金沢のまちの良さを、住んでいる私たちがもう一度ゆっくりと見直す時なのかもしれません。お庭や公園の緑地から治水や護岸まで幅広い役割を持つグリーンインフラというメガネで金沢のまちを見直してみませんか!?
今回2030年をIMAGINEしてくれるのは、スペイン・バレンシア地方から来日して11年、日本庭園に魅せられて、京都、金沢と研究対象を広げてきた国連大学サステイナビリティ高等研究所いしかわ・かなざわオペレーティング・ユニットのファン研究員。金沢の自然、市民の暮らし、歴史が凝縮した、市井にある日本庭園や曲水庭園などの研究を通じて、金沢市のこれまでの緑地の変化、これからのまちのあり方を住民と考える地域に根差した研究を展開しています。2019年には代表著者として「OUIK 生物文化多様性シリーズ#5 金沢の庭園がつなぐ人と自然ー持続可能なコモンズへの挑戦ー」を執筆しています。
そしてアイデアを提供してくださるのは、三菱UFJリサーチ&コンサルティングに在籍時にグリーンインフラ研究会の立ち上げに参画、現在は京都産業大学で教鞭を取りながら国内外のグリーンインフラ事例を幅広くまとめた書籍「決定版!グリーンインフラ」、「実践版!グリーンインフラ」の出版に関わるなど多様に活動されているグリーンインフラの専門家、研究家、広報官の西田貴明さんです。
日時:2020年9月8日(火)18:30~20:00定員:200 名(参加費無料、事前申込制) ※必ず下記のボタンより、事前にお申し込みください。
1.金沢SDGsの紹介:永井 三岐子(国連大学IAS OUIK事務局長)
2.IMAGINEする人:フアン・パストール・イヴァールス(国連大学IAS OUIK研究員)
3.アイディアを提供してくれる人:西田 貴明さん(京都産業大学准教授)
4.オンラインディスカッション
フアン・パストール・イヴァールス国連大学IAS OUIK研究員
専門分野は建築、都市計画、都市景観建築、生態学。スペイン、デニア市から、2009年に来日。スペイン・ヴァレンシア工科大学建築設計修士(建物)を取得後、文部科学省奨学金留学生として京都工芸繊維大学 建築設計修士(景観)を取得。更に、京都大学における日本学術振興会特別研究員を経て、スペイン・ヴァレンシア工科大学 建築設計博士(日本庭園)を取得する。「間と奥、七代目小川治兵衛と近代日本庭園」と題した博士論文を執筆。 専門家としては建築・都市計画・政策に係るスペイン政府関係機関に6年間勤務。また、京都学園大学において3年間非常勤実習助手として勤務。主に「都市の自然化」を担当。 現在は、都市生態系サービスの持続可能な保全とレジリエンス(回復力)のある開発の研究にフォーカスし、既存の生態系サービスのモニタリングや分析を通し、都市の空き家や空き地の再利用を通じたグリーン・ブルーインフラの実現を目指している。また、共同管理やエコツーリズムを通じた都市自然の管理にも興味を持っている。
西田 貴明(にしだ たかあき)京都産業大学 生命科学部 産業生命科学科 准教授
1980年京都生まれ、京都府立大学卒業、京都大学大学院理学研究科修了。理学(博士)。2009年より三菱UFJリサーチ&コンサルティング にて、生物多様性など、自然環境分野の政策調査や事業支援を担当。 グリーンインフラに関する政策形成に向けた検討や調査研究にも多数参画。2019年より現職。また、三菱UFJリサーチ&コンサルティング 客員研究員、徳島大学防災環境研究センター客員准教授。 グリーンインフラ官民連携プラットフォーム運営委員、同企画・広報部会長。