2023.10.20

「KANAZAWA SDGsフェスタ」レポート

107日(土)、地元のお店のマーケットを中心に、エシカルな暮らしや体験、カルチャーなどさまざまな要素を盛り込んだ「KANAZAWA SDGs フェスタ」が今年も開催されました。
場所は、広坂通りに面した金沢市役所第一本庁舎前の広場です。
市民にとってはなじみのある場所ですが、でもあれ? 今日はいつもと風景が違ってみえるような――。

それもそのはず、実は広場にほんものの芝生を敷いているのです。
SDGsという芯を通しつつ、「例年通り」「前回と同じ」では済まさないのが、本フェスタの心意気。
芝生以外にも、新しい取り組み、とにかくやってみようという工夫がいっぱいです。

では、当日のもようをレポートします!

市庁舎前広場が2日間限定で芝生広場に

2021年からスタートし、3回目を数えるSDGsフェスタ。
今年は、従来の金沢市役所第二本庁舎から、広坂通りに面した第一本庁舎前の広場に会場を移しました。

そして、ここに注目!

金沢SDGsらしく居心地のよい空間にしようということで、広場に天然芝を敷いてみたのです。

緑の芝生に白いテントが立ち、いろんなものが売り買いされている風景は、金沢らしいロケーションでありながら、パリのマルシェのようにも映ります。
芝生の上で裸足になる人、マーケットで購入したお弁当を広げる人、寝転がる人もいて――。
ふだんのこの場所では見られない、リラックスした景色です。

タイルと砂利で構成された水景施設も、人々の憩いの居場所に

せっかくの芝生です。
1日だけではもったいないので、翌日に開催される「カーフリーデー2023in金沢」も、同じ状態で会場を使います。
もちろん、その後もムダにしません。
2日間のイベント終了後は、市の施設の芝生として、しっかりと根を張ってもらいます。

SDGsフェスタの新しい取り組みはもうひとつ。
今年から会場で飲食OKになったことに伴い、食器のリユースを一部に導入しました。
お店によって提供するメニューも違えば、“雰囲気”も違います。
そこは多様性を尊重しようということで、単純にリユース食器サービスを導入するのではなく、各店にはふだん使っている食器を使ってもらうことにしました。
食器の洗浄は、市内の障害福祉サービス事業所ハスネテラスさんに依頼。食事提供後は、食器を会場で回収するというしくみにしました。

食器返却テント

もちろん、来場者にはあらかじめ容器やカトラリーの持参を呼びかけています。
作る人・食べる人・つなぐ人が、それぞれ工夫し、ひと手間をシェアすれば、イベント時のごみはぐんと減らせます。

テントをめぐって、出会うモノ、気づくコト

芝生会場には、それぞれテーマが設定された、7つのテントが並びます。

「お直しのテント」のテーマは、
S:知っている人が作るものを D:だいじに使う G:ぐっとくるものを s:修理して使い続ける】

傘、器、家具、洋服など、お直しができるものはいろいろ。
こちらは、家山英子さんの「くつしたの繕い体験」のお店です。
毛糸や刺繍糸でステッチを入れることで、穴あきくつしたがかわいく変身! 

繕いものは、「ダーニング」と呼ばれる、すてきな針仕事。これを見たらもう、すりきれたからといって簡単にくつしたは捨てられません!

「循環のテント」のテーマのひとつは、
S:捨てるはずのもの D:どこかでどうにか G:ぐるりと巡り s:再生して生き返る】

古道具や古本、アップサイクル品が並びます。

ふだん漆の器を制作している、すはらゆう子さんは、木地を削ってお箸を制作する際に出る“はしっこ”(端材)を使ったチャームづくりのワークショップを行っています。

箱の中に入っているのはお箸のはしっこ。はしっこから、どんな楽しいものが生まれるかな?

「捨てない器テント」のテーマはずばり、
S:捨てない器で D:できるだけ G:ゴミを出さずに s:食事する】

実際のところ、会場を見回すと、出店者さんが提供の仕方を工夫していたり、食器リユースのしくみがあったりで、使い捨てプラ容器のごみはほとんど出ません。

さらには、その上をいく、食器は使わないよ、というお店も。
大きなはすの葉で包んだお弁当を並べているのはニワトコさん。
はすの葉は、河北潟のレンコン農家さんから分けてもらったもの。普段から農家さんと交流することで、いろんなヒントや気づきがもらえるそうです。

芝生をステージに

芝生を敷いた水景施設の前は、ときどきステージになります。

ギタリストで作曲家の石川征樹さんの演奏は、オールジャンルで観客からのリクエストOK
芝生と音楽があれば、それだけで気持ちのいい居場所ができます。

北陸3県で唯一の介助犬利用者である平野さんと、その生活を支えるピースケによるデモンストレーションも行われました。

平野さんが落としたものを、指示を受けたピースケが拾うと、会場から温かな拍手が。
「時間をかければ本人が拾えるんじゃないかと思われるかもしれませんが、以前は、落としたらどうしようという小さな不安が、外出の妨げになっていました」。
そんな平野さんの言葉が印象的でした。
誰もが安心して外出できるように、私たちにもできることがあるはずです。

マーケット会場から少し離れたところには、テント映画館があります。

こちらでは、『目の見えない白鳥さん、アートを見に行く』というドキュメンタリー作品が上映されました。
目が見えない人はどうやってアートを見るのか。アートの力とは何か。言葉の力とは何か。障害とは何か。
いろんなことを考えさせられる作品です。

IMAGINE KANAZAWA 2030 パートナーズの活動を知る

庁舎の軒下空間には「IMAGINE KANAZAWA 2030パートナーズ」の情報発信&体験スペースが設けられました。

印刷、金融、伝統芸能、まちづくりプロジェクトなど、さまざまな企業や団体の活動が紹介されていて、金沢SDGsのすそ野の広がりを感じます

うめばちさんの古紙回収ポストが目を引くのは、オンデマンド印刷で知られるキンコーズ・金沢尾山神社前店さんのブース。
地元の紙卸会社、製紙会社と連携し、金沢で回収した古紙を、金沢で新たな紙に再生し、金沢で利用を促進する、「紙の地産地消」のプロジェクトを進めています。

キンコーズさんは、再生紙を使ったSDGsペーパークラフトも製作しています

端唄・三味線の教室をしている金沢千扇会さんは、段ボールの三味線を使った体験を行っています。
かつて「空から謡が降ってくる」 といわれた金沢ですが、今日はあちこちからいろんな音が降ってきます。

☆パートナーズ会員やその活動について詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。

今あるものを活用する。
直して、手を加えて、使い続ける。
「捨てない」に知恵を絞る。
普段の暮らしでも、「あたりまえ」が少しずつ変わってきているのを感じます。
サステナブルというと、引き算にだけ目が行きがちですが、新しい楽しさや心地よさを足し算することで、輪はもっと広がっていくよ―。
そんなメッセージが、SDGsフェスタの会場から聞こえてきました。

<<「KANAZAWA SDGsフェスタ」開催概要>>

主 催|IMAGINE KANAZAWA 2030推進会議 金沢市
日 時|2023107日(土)10001600
会 場|金沢市役所第一本庁舎
来場者|約4,500
内 容|
(1)金沢SDGs広場
SDGsに取り組むお店による販売(量り売り・地産地消・フェアトレード等)
・ワークショップ、実践等(金継ぎ受付、傘修理受付、洋服の再構築、家具の修理)
(2)IMAGINE KANAZAWA 2030パートナーズ等
・キンコーズ・ジャパン株式会社 キンコーズ・金沢尾山神社前店
・SMBC
コンシューマーファイナンス株式会社
・ダンロップタイヤ北陸株式会社
・石川まちなかプロジェクト
・金沢千扇会/SHABO金澤
・現代集落(こみんぐる+E.N.N.
・NPO
法人シンママ応援団
・株式会社ユーアート
・ラブラドールレトリバー「ピースケ」×平野友明さん 補助犬(介助犬)コーナー

出展者の声(一部抜粋)|
・芝生はずっと前からあるように自然と馴染んでいて、すてきでした。市役所前がこんなふうになるなんて誰もが驚いたと思います。次回も是非!
・リユース食器はゴミにならないという気持ちよさがあって、みなさん快適そうでした。
・芝生を敷くという発想が大胆で大変すてきでした。期間限定での芝生が他のイベントとの差別化になり、お客様にも喜ばれていたように感じました。
・自分たちがSDGsに対しどういった取り組みができるかを模索しながらも、実行に移せていないことが多々ある中、こういったイベントで新たな取り組みを試みることができ、大変有意義でした。
・リユース食器は、オペレーション的な大変さもあるかと最初は感じていましたが、実際にはその不自由さもなく、円滑に営業を行うことができました。
・同じテントで出店されていた皆さんと一緒に、「捨てるにはもったいないけれど、売れるかな」というアイテムがどんどん循環されていくのを目の当たりにしました。販売する上でものの価値を見直すきっかけになり、クリエイティブな面でも刺激を受けました。
・当日、お天気が回復したのもあり、本当に気持ちのいい日になりました。芝生は、あの場所で小さな子どもたちが走り回っているという光景がなんとも感動的でした。全面ではなく、道は道として確保されていたので、ベビーカーの家族もスムーズに回ることができ、良かったと思います!

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