2025.09.08

【開催報告】大阪・関西万博にて2日間に渡り、能登のプログラムを開催

2025年8月27日、大阪・関西万博プログラム「~CONNECTING YOU TO 能登~ 生物多様性(強く生き抜く生き物たち)について能登の小学生と学ぼう!」が、万博会場内のサステナドームにて、環境省と国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)の連携で開催されました。

2025年8月27日、大阪・関西万博プログラム「~CONNECTING YOU TO 能登~ 生物多様性(強く生き抜く生き物たち)について能登の小学生と学ぼう!」が、万博会場内のサステナドームにて、環境省と国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)の連携で開催されました。

プログラム冒頭、国連大学サステイナビリティ高等研究所  いしかわ・かなざわオペレーティング・ユニット(UNU-IAS OUIK)小山明子 研究員は、生物多様性というコンセプトについて能登半島の生き物を例に紹介しました。参加者は生き物や環境、人の暮らしは全て繋がっていて、互いに支え合いながら成り立っているということを学びました。さらに、昨年発生した能登半島地震や豪雨を取り上げ、被害状況を述べました。

続いて、石川県能登町立柳田小学校5、6年生6名が、災害前から行ってきた町野川の水質調査や生き物調査の結果について発表をしました。災害後の生態系の変化、生き物の生命力の強さ、環境の変化が食物連鎖に与える影響について、彼らの考察を交えながら堂々と発表しました。

小学生による発表の後は、東京にいるさかなクンと会場をオンラインで繋ぎ、交流会を行いました。さかなクンが実際に能登を訪れた際に見た魚たちや、地震や豪雨、気候変動や環境に関する生き物たちが直面している課題について話しました。

最後に来場していた子どもたちからさかなクンへ質問が投げかけられ、さかなクンはその場で魚の絵を描きながら、好きな魚や魚の条件など詳しく説明し、こどもたちは興味深く聞き入っていました。

来場した子どもたちは能登の生き物や地震後の状況について学ぶ、貴重な機会になりました。

2日目の8月28日は「~CONNECTING YOU TO 能登~ 被災地に学ぶ防災と復興について能登の高校生と学ぼう!」は石川県立七尾高校の1、2年生5名が発表をしました。

冒頭の小山研究員による能登の里山里海の生業、伝統文化、暮らしに関する説明の後、生徒たちは、2024年の能登半島地震や豪雨での体験をもとに、地域での困難やそこで感じた思いを自らの言葉で語りました。また、震災・豪雨後の地域環境の変化に関する研究活動についても紹介し、「今目の前にある暮らしや環境は決して恒久に続くものではないことを実感したと」述べました。さらに、5ヶ月近く断水が続いた経験とともに水の大切さを語り、備えることで被害を少なくできるという考えも共有しました。災害から学び、それを未来へつなげる重要性を訴える姿は、参加者に強い印象を与えました。

発表の後にはワークショップが行われ、会場に集まった子どもから大人まで幅広い参加者が加わり、グループごとに意見交換を行いました。能登の高校生の発表を受けて、各自の地域での防災の在り方や日頃の備えについて話し合う時間となり、阪神大震災を経験した参加者が当時の体験を共有する場面もありました。こうした対話を通じて、世代や地域を超えた共感と学びが広がりました。

最後に、UNU-IASの山口しのぶ所長がプログラム全体を振り返りました。所長は「昨今の豪雨や森林火災といった災害は気候変動とも深く関わっており、能登や日本だけではなく、世界のどこでも起こり得る。だからこそ、世代や立場、地域を超えて多様な人々が学び合うことが、社会をより良いものにする力になる」と述べ、本プログラムの意義を改めて強調しました。

災害をテーマに据えながらも、能登の経験を起点に過去・現在・未来をつなげ、地域を超えて共に考える場となった今回のプログラムは、万博という国際的な舞台にふさわしい学びの機会となりました。

pagetotop