12月20日(金)に、金沢未来のまち創造館にて「パートナーズ交流会#22 自社/自団体の防災を考えよう」を開催しました!元旦の地震から、地域内での防災意識は高まっているように思いますが、一方で企業や団体で防災に取り組もうとしたとき、「何からはじめるといい?」「今の対策で足りてる?」等と感じている方も多いのではないでしょうか?今回の交流会では、金沢市危機管理課と、パートナーズ会員であり、防災士でもある株式会社カネマサの越田さんにご登壇いただき、金沢市内のどこでどんなリスクがあるのか、企業・組織が災害に備えるために必要なことなどを考えました。
はじめに、金沢市危機管理課の寺分主事から、企業防災のポイントとBCPについてハザードマップを確認しながら話題提供いただきました。
話題提供の一部をご紹介します。
従業員、会社の建物、ステークホルダー、収益、商品、顧客など、有事の際の重要事項は多く考えられますが、自社/自団体では、何が重要で優先的に対策しなければいけないのか日常的に確認することが必要です。
金沢市では、洪水、土砂災害、液状化、津波の4種類のハザードマップを公表しています。自社/自団体にどのようなリスクが想定されるのか、把握しておくことが必要になります。
非常時の持ち出し品として、貴重品、非常職員、飲料水、応急衣料品、懐中電灯、携帯ラジオ、衣類・タオル、ティッシュペーパー、ビニール袋、石鹸、生理用品などが基本的には必要とされていますが、加えて毛布や折りたたみベッド、簡易トイレ、バッテリーなどを実情に合わせて持ち出すことも推奨されています。ただし、重くなりすぎないように注意が必要です。
次に、現在の自社/自団体でどのような対策を行っているかグループに分かれて意見交換を行いました。
参加された方々の対策状況を一部ご紹介します。
●BCPを策定済み●避難場所は決定しているものの、その後の具体的な対応策が未整備●避難訓練を実施しているが、取り残される従業員がいる可能性がある●今後、有事に向けた備えを検討していく段階
それぞれ対策状況は異なっていましたが、「日頃から災害時の対応を可視化すること」、「楽しみながら防災意識を養うこと」など、いかに防災を「自分ごと」として捉えられるかが重要だという認識は一致していました。
対策状況を共有後、もしも大地震が起きたら…と想像しながら、発災後2時間内に実施すべきTODOリストを作成し、共有しました。
想定シナリオ:①あなたは、自社/自団体の災害時対応責任者です②平日の昼間、業務時間中に震度6強の地震が発生③オフィス内の設備が損傷し、従業員に動揺が広がる④停電や通信障害が発生⑤道路にも損傷があり、帰宅が困難になるかも
参加者のTODOリストには次のような内容が記載されていました。
●社員がパニックにならないように声をかけて回る●周りの情報を仕入れる情報収集手段の確保(防災無線、ラジオなど)●防災備蓄品を安全に持ち出せる場所に移動する●避難所に移動時の貼り紙など、アナログ的な情報伝達●トイレや衛生環境の確認
意見交換を通じて、まず初期対応として従業員のパニックを防ぎ、適切な役割分担を行うことの重要性が確認できました。また、停電や通信障害が発生している状況下では、貼り紙などのアナログ的な対応が有効であるという指摘も。さらに、平時から組織内でどこに情報や備蓄品を集約するかを決め、従業員間で周知しておくことが、有事の円滑な対応につながるんだなと再認識することができました。
最後に、株式会社カネマサの代表取締役社長であり、防災士でもある越田さんから企業が取り組むべき災害への備えについて、話題提供いただきました。
企業の災害対策としてまず取り組んでほしいことは「備蓄」です。災害発生直後は、支援物資が届くまで時間がかかることを想定しておかなければいけません。シミュレーションのように、帰宅困難者が発生した場合は、事務所内で数日過ごすことも考えられます。72時間(3日間)が、生存率が急激に低下する分岐点となっているため、最低でも3日分は用意しておく必要があります。
金沢市の食糧倉庫や防災倉庫にはある程度の備蓄がありますが、避難所ごとには備蓄されていないのが現実です。そして、いざ災害が発生してから買いに行こうとすると多くの人が店頭に殺到し、品切れで買えない可能性も少なくありません。だからこそ、事前に自分たちで備えておくことが重要です。
基本はそれぞれの備蓄用品を3日分用意する必要があります。例えば、水であれば2リットルペットボトル1日2本×3日分×30名であれば、180本となり、社員1名あたり2リットルペットボトルが6本入った、1ケースが30個必要です。他にも食料は270食、簡易トイレは450回分など、ある程度の備蓄量が求められます。また、企業の場合には社用車に防災グッズやアウトドア用品を積んでおくことも有効な手段です。
災害の被害を最小限に抑える為には、自助・共助・公助の3つが大切であるといわれています。「自助」は、自分達の行動で自分や家族の命を守ること。「共助」は、町会や会社など、近所や地域の方々と助け合うこと。そして「公助」とは行政・消防・警察などによる公的な支援を指します。災害時、企業が「自助」に加え、「共助」にも取り組むことで地域の防災力を高めることができます。
金沢のすべての企業と地域がともに備え、支え合う事前対策型の防災モデルを構築していくことが今後重要になると思います。金沢市の事業所数は約25,000。もし、この数の会社が全て備蓄をしていた場合、災害があっても何とか耐えられる事前準備ができるのはないでしょうか。
今回は、「自社/自団体の防災を考えよう」をテーマにパートナーズ交流会を開催しました。災害が起きた後ではなく、起きる前に「備える」そして、日頃から防災を「自分ごと」にするという共通認識が持てたように思います。
石川県では、昨年能登半島地震や奥能登豪雨を経験しました。近年はこれまでに経験したことのない災害がいつ発生するか分かりません。日頃から、防災を自分ごとにし有事に備えておくことが、これから私たちには求められる。そんなことを再認識できた交流会でした。
IMAGINE KANAZAWA 2030パートナーズでは、今後もパートナーズ会員間の交流と対話による場づくりを行っていくことで、有事の際に活用できるパートナーシップを構築していきたいと思います