―自治体をはじめ、いろんな企業や団体がフードドライブを行っていますが、お寺が取り組むというのはユニークですね。
関西のお寺の取り組みを参考にしたのですが、集まった食品はいったんお寺の仏さまに「おそなえ」し、その後「おさがり」として「おすそわけ」するというかたちをとっています。わざわざおそなえするなんて、言ってみれば古くさいことをやっているんです。でもそうすることで、人と人の心をつなぐことができます。自動化、機械化が進む世の中ですが、人の心を動かせるのはやっぱり人なんです。
大量生産、大量消費、大量廃棄の今の時代には、ものを大切にする思いが薄れ、他者に対する関心も希薄になります。そんな中で、食べ物に感謝する気持ち、仏さまにおそなえするという行為を通じて人の役に立ちたいという気持ちを呼び起こし、食品を通じて心を託すことができるのは、お寺のフードドライブならではです。食品と一緒に、人々の善意がめぐっていることが分かるよう、持ち寄っていただいた品を施設などにお届けする際は、ともいきフードドライブのチラシも添えています。