会員インタビューvol.04 一般社団法人コード・フォー・カナザワ(Code for Kanazawa)
2021.01.21
会員インタビューvol.04 一般社団法人コード・フォー・カナザワ(Code for Kanazawa)
シビックテックが「誰がどうやって地域課題を解決するのか?」 に対するひとつのアンサーになる
シビックテックとは、シビック(Civic:市民)とテック(Tech:テクノロジー)をかけあわせた造語。市民がITなどのテクノロジーを活用して、地域課題を解決する取り組みを指します。 国内では、2013年に金沢でCode for Kanazawaが立ち上がったのを皮切りに、全国にシビックテック活動が広がり、地域課題の解決につながるさまざまなアプリやサービスが開発されています。 市民主体という共通点を持つSDGsとシビックテック。SDGsを地域に浸透させ、目標を達成していく上で、シビックテックコミュニティはどんな役割を担っていくのか、Code for Kanazawa代表理事の福島さんにお話をうかがいました。「コードやプログラミングのことはよく分からない…」という方にこそ!
―まずCode for Kanazawaの歩みについて教えてください。
2012年にアメリカのCode for Americaという非営利組織の存在を知ったことが始まりです。自治体に腕利きのプログラマを派遣し、市民の問題を解決するアプリやサービスを開発する…という活動は、その当時は言葉こそ生まれていませんでしたが「シビックテック」そのもの。大きな感銘を受けました。日本にないなら自分たちでつくろうと1年かけて準備をし、2013年5月に9人のメンバーでCode for Kanazawaを設立しました。 日本初のシビックテックコミュニティということもあり、Code for Americaに対して「Japan」と名付けようかという意見もあったのですが、国の規模になると課題が複雑で曖昧になってしまう。それよりも地域に根差し、地域に眠っている具体的な課題に焦点を合わせていこうということで、「Kanazawa」を名乗りました。 その後、続々と各地に「Code for ○○」コミュニティが立ち上がっていきました。
―Code for Kanazawaが日本のシビックテックムーブメントの起点になったのですね。設立以降、どんな活動を展開していったのですか。
Code for Kanazawaの存在感を高めるきっかけになったのが、地域のゴミの分別と収集日を自動で表示する「5374(ゴミナシ)」というアプリです。公式サイトでソースコードを公開しており、各自治体のゴミ収集情報を利用すれば誰でも自分のまちの5374を作成できます。実際に全国各地で125以上の5374が開発されています。5374は地域の方に便利に使ってもらうことはもちろん、プログラムを少し手直しすれば動くという手軽さがあることから、全国各地でシビックテックコミュニティが始動する際のエンジンともなりました。 他には奥能登のママさんに協力するかたちで開発した子育て応援ウェブアプリ「のとノットアローン」、コロナ禍で苦戦する地域の飲食店を支援する「金沢テイクアウトマップ」などの事例があります。
私自身は2017年にSDGsに出会ったのですが、シビックテックと共通点が多いなと感じました。 シビックテックは市民主体の活動です。市民が考えたことを行政に働きかけ、行政にも協力してもらうスタイルです。SDGsも同じ。「金沢SDGs行動計画」も市民が考えて決めたものです。そして双方とも場の多様性を確保することが重要になります。Code for Kanazawaも、プログラマなどのエンジニアだけでなく、会社員、主婦、学生などさまざまな立場の人が関わり、多様な視点やアイデアを提供しています。
―SDGsという枠組みの中で、シビックテックができることは何でしょうか。
SDGsが2030年に達成しようとしている目標は簡単なものではありません。あと10年で目標を成し遂げるためには、ものごとの効率を飛躍的に高め、社会に大きなインパクトを与えるテクノロジーを活用することが欠かせません。 SDGsには複数の領域にまたがって1から17までのゴールが設定されていますが、テクノロジーはそのすべてに適用できる可能性があります。こうしたことから、Code for Kanazawaを含め地域で活動するシビックテックコミュニティは、SDGsに大きく貢献できると考えています。逆に、SDGsの活動をしている方も積極的にテクノロジーを利用することを考えてみてほしいと思います。掛け合わせると大きな力が生まれます。 ただしテクノロジーがすべてではありません。何もかもIT化して効率を求めるのではなく、人間によるアナログ的なものとのバランスも大事ですね。